Sweet home Abeno
大阪あべの。天王寺区と阿倍野区にまたがる商業地域。JR、私鉄、地下鉄などが集まる、大阪では梅田、難波に次ぐ大きなターミナルである。駅前の天王寺公園を抜けると、今では観光スポットとして有名な新世界も近く、キタやミナミにはない庶民的な顔を持つ。実家が阿倍野の僕にとっては子供の頃から慣れ親しんだ“縄張り”でもある。
チンチン電車に乗り終点の天王寺駅前で降りる。近鉄百貨店の屋上遊園地で遊んだのは小学校の頃。中学生になると商店街の旭屋書店のお世話になり、高校時代のデートコースはアポロビルの映画館。大学生になるとあべの銀座のジャズ喫茶に入り浸る。気取ることなく雪駄履きで歩ける庶民の街だ。
そんな“あべの”でビッグプロジェクトが動き出すとマスコミが報じた。近畿日本鉄道が近鉄百貨店阿倍野本店が入居する阿部野橋ターミナルビルを建て替え、超高層複合ビルを建設すると発表したのだ。地上59階地下5階、高さ約300メートル。横浜ランドマークタワーを抜いて日本一の高さになるという。近鉄百貨店を中核にオフィスや美術館、上層階には高級ホテルが入居する。キタやミナミに比べ商業集積が見劣りすると言われる阿倍野・天王寺エリアで、近鉄が一発逆転を狙った大事業と言えるだろう。
しかし、この地域で大阪市が巨費を投じて進める阿倍野再開発事業は、完成を待たずして莫大な赤字を抱える大失敗事業となり、都市機能、住宅環境の整備を目的に造られた近未来的なビル群には閑古鳥が鳴いている。そもそもあべのは先に述べた新世界や、今も料理屋と名前を変えて営業を続ける遊郭街、飛田新地などに隣接しており、立ち飲み屋で冷や酒をあおった労働者たちが昼間から上機嫌で闊歩する街なのだ。漫画『じゃりン子チエ』の舞台となった街もこの近くである。住人の声を無視した場違いな再開発は完全にソッポを向かれた格好となっている。
そんな再開発事業地区の筋向かい、近鉄阿部野橋駅に今度は超高層ビルの建設である。近鉄という大企業が勝算ありと判断したもので、バカな役人が後先を考えずに始めた再開発とは訳が違うかも知れない。しかし、所詮あべのはあべの。庶民が長い年月を経て作り上げた雪駄履きの街である。
はっきり言わせてもらおう。あべのに超高層ビルはいらない。大企業のオフィスも高級ホテルもいらない。ホルモン屋と立ち飲み屋があればいい。うまい餃子を食わせてくれる中華料理屋があればいい。焼き鳥屋の煙が路地に立ちこめ、労働者たちが肩を寄せ合いながら立ち食いうどんをすする。あべのはそんなしょんべん臭い街なのだ。僕たちはそんなあべのが好きなのだ。住人たちが望まないちぐはぐな開発はまっぴら御免だ。
チンチン電車に乗り終点の天王寺駅前で降りる。近鉄百貨店の屋上遊園地で遊んだのは小学校の頃。中学生になると商店街の旭屋書店のお世話になり、高校時代のデートコースはアポロビルの映画館。大学生になるとあべの銀座のジャズ喫茶に入り浸る。気取ることなく雪駄履きで歩ける庶民の街だ。
そんな“あべの”でビッグプロジェクトが動き出すとマスコミが報じた。近畿日本鉄道が近鉄百貨店阿倍野本店が入居する阿部野橋ターミナルビルを建て替え、超高層複合ビルを建設すると発表したのだ。地上59階地下5階、高さ約300メートル。横浜ランドマークタワーを抜いて日本一の高さになるという。近鉄百貨店を中核にオフィスや美術館、上層階には高級ホテルが入居する。キタやミナミに比べ商業集積が見劣りすると言われる阿倍野・天王寺エリアで、近鉄が一発逆転を狙った大事業と言えるだろう。
しかし、この地域で大阪市が巨費を投じて進める阿倍野再開発事業は、完成を待たずして莫大な赤字を抱える大失敗事業となり、都市機能、住宅環境の整備を目的に造られた近未来的なビル群には閑古鳥が鳴いている。そもそもあべのは先に述べた新世界や、今も料理屋と名前を変えて営業を続ける遊郭街、飛田新地などに隣接しており、立ち飲み屋で冷や酒をあおった労働者たちが昼間から上機嫌で闊歩する街なのだ。漫画『じゃりン子チエ』の舞台となった街もこの近くである。住人の声を無視した場違いな再開発は完全にソッポを向かれた格好となっている。
そんな再開発事業地区の筋向かい、近鉄阿部野橋駅に今度は超高層ビルの建設である。近鉄という大企業が勝算ありと判断したもので、バカな役人が後先を考えずに始めた再開発とは訳が違うかも知れない。しかし、所詮あべのはあべの。庶民が長い年月を経て作り上げた雪駄履きの街である。
はっきり言わせてもらおう。あべのに超高層ビルはいらない。大企業のオフィスも高級ホテルもいらない。ホルモン屋と立ち飲み屋があればいい。うまい餃子を食わせてくれる中華料理屋があればいい。焼き鳥屋の煙が路地に立ちこめ、労働者たちが肩を寄せ合いながら立ち食いうどんをすする。あべのはそんなしょんべん臭い街なのだ。僕たちはそんなあべのが好きなのだ。住人たちが望まないちぐはぐな開発はまっぴら御免だ。